今、医師や歯科医師、看護師の労働市場において、ものすごいスピードで不均衡が拡大しつつある、と言われています。 つまり, 必要なところに必要な職種の人が不足している という状況が進んでいるのです。 医療はわたしたちが生活する上で最も大切なサービスの一つではありますが、意外にその実態が知られていないのが現状です。まずは、今、拡大しつつある不均衡の実態を紹介して、医療労働市場の特徴からみなさんと一緒に学んでいきたいと思います。
日本の医療の現場では、医師の数も看護師の数も不足していると言われています。もちろん、その数が十分に確保できている病院や医療現場もあるのですが、不足しているところもかなり多くあり、そんなところから医療崩壊の足音が聞こえてきています。医師の不足、看護師の不足、どちらも同じ「不足」という言葉で語られますが、実際にはそれぞれにはそれぞれの原因があり、それぞれの課題があります。
医師や看護師などの医療の現場にたずさわる人材が不足してくると、全国の高齢者たちに医療を受けられない人たちが増えてくることになります。それはつまり、ふだん、私たちが当たり前と感じている先進国ならではの質の高い医療が受けられなくなる可能性があるということで、これは決して高齢者だけの問題にはとどまらない問題でしょう。医療の現場の人材が不足するということは、働き盛りの若者たちまでもが満足な医療を受けることができずに、その結果社会復帰が遅れ、若い世代の働き手が不足してしまうということも考えられるのです。
さらに、この問題の恐ろしいところは、これが単なる人材不足ではとどまらず、国全体の医療サービスそのものの質の低下をもたらすところにあります。つまり、医師や看護師が不足してくると、当然のように、とある現象が医療の現場で見られるようになってくるのです。それは、一人一人の仕事量の増加です。
今までは、2人で行うのが当たり前だった作業を、今後はひとりで行わなければならなくなったとしたら、どうなるでしょう?わたしも医療の現場に立つ人間の端くれですが、そんなことを考えると、すこし寒気がします。そんな状況が頻繁にみられるようになると、医師や看護師を含むスタッフは疲弊し、現場にもあまり望ましくない空気が流れるかもしれません。そして、そうやって少しずつ様々な負担やリスクが増加し、医療ミスや過労、精神障害などの悪循環に陥っていくのです。
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